競技の練習だけでは、身体は育たない?|スポーツを頑張る子に必要な「もう一つの練習」

「サッカーを週3回やっています」

「野球の練習を頑張っています」

「バスケットボールのクラブに通っています」

スポーツを始めると、当然ですが競技の練習時間が増えていきます。

もちろん、それは大切です。

好きなスポーツを一生懸命練習する。

それだけでも、子どもは大きく成長します。

でも、ここで一つ考えてみてほしいことがあります。

競技の練習だけで、本当に身体全体を使えるようになっているでしょうか?


競技には「よく使う動き」がある

例えばサッカー。

走る、止まる、方向を変える、蹴る。

野球なら、

投げる、打つ、捕る、走る。

バスケットボールなら、

走る、跳ぶ、止まる、投げる。

それぞれの競技には、それぞれ必要な動きがあります。

だからこそ、練習をすればするほど、

その競技に必要な動きは上達していきます。

これは当然のことです。

ただし、その一方で、「その競技では、あまり経験しない動き」はどうでしょうか?


「できない」のではなく、「経験していない」だけかもしれない

例えば、

転んだときに手をつく。

後ろ向きに動く。

身体をひねる。

片足でバランスを取りながら動く。

低い姿勢から素早く立ち上がる。

ぶら下がる。

這う。

転がる。

こうした動きは、競技によってはあまり練習しないかもしれません。

でも、身体にとっては大切な経験です。

ここで重要なのは、

「できない=運動神経が悪い」ではない

ということ。

単純に、

その動きを経験する機会が少なかった

だけかもしれません。


競技が上手い子にも「苦手な動き」はある

これは、実際の子どもたちを見ていても感じることです。

サッカーが上手なのに、片足立ちが苦手。

速く走れるのに、止まるのが苦手。

野球が上手なのに、身体をひねる動きが苦手。

ジャンプはできるけど、着地すると身体がグラグラする。

こうしたことは珍しくありません。

なぜなら、「スポーツができること」と「身体を自由に扱えること」は、完全に同じではないからです。

競技の技術は高い。

でも、身体の使い方にはまだ伸びしろがある。そんな子どもはたくさんいます。


だから「競技とは違う動き」が意味を持つ

ATHBASEスポーツ教室では、

サッカーが上手くなるためにサッカーをする。

野球が上手くなるために野球をする。

という考え方ではありません。

むしろ、競技の練習では経験しにくい動きを経験する。ことを大切にしています。

走る。

跳ぶ。

投げる。

支える。

転がる。

手をつく。

バランスを取る。

身体をひねる。

素早く反応する。

こうした経験を積み重ねることで、

「自分の身体をどう動かせばいいのか」

を学んでいきます。


研究でも「基本的な動き」は重要とされています

子どもの基本的な運動技能(Fundamental Movement Skills:FMS)については、これまで多くの研究が行われています。

FMSには、

「走る・跳ぶ」などの移動系の動き、

「投げる・捕る」などの操作系の動き、

そして身体を支える・バランスを取るといった動きが含まれます。

研究では、こうした基本的な運動技能を伸ばすための介入によって、子どもの運動技能が改善することが報告されています。[1]

また、2023年の系統的レビューでも、基本的な運動技能は子どもの身体活動や身体能力につながる重要な「土台」として位置づけられています。[2]

つまり、競技の技術だけを見るのではなく、その下にある「身体を動かす能力」を育てることも大切ということです。


「もっと練習する」だけじゃない

スポーツが上手くなってくると、

「もっと練習しよう」

「自主練をしよう」

となりがちです。

もちろん、それも大切です。

でも、

練習量を増やすことだけが成長ではありません。

競技ではあまり使わない動きを経験する。

普段とは違う身体の使い方をする。

苦手な動きにも挑戦してみる。

こうした時間も、

長い目で見ればスポーツにつながっていきます。


「専門化」より前に、身体の幅を広げる

特に子どもの時期には、一つの競技だけに偏らず、さまざまなスポーツや動きを経験することの意味が研究されています。

2020年の系統的レビュー・メタ解析では、7〜18歳の5,736人を対象とした研究をまとめた結果、1競技に特化している子どもは、複数のスポーツを経験する子どもよりもケガのリスクが高かったと報告されています。[3]

また、スポーツ専門化とオーバーユース障害についてのメタ解析でも、高度に専門化した若年アスリートでは、低専門化の選手と比べてオーバーユース障害のリスクが高いことが示されています。[4]

もちろん、「一つのスポーツをやってはいけない」という話ではありません。

大切なのは、一つの競技を頑張りながら、身体の経験まで一つにしないこと。です。


ATHBASEは「競技の代わり」ではありません

ATHBASEスポーツ教室は、少年団やクラブチームの代わりになる場所ではありません。

サッカーならサッカー。

野球なら野球。

それぞれの競技でしか得られない経験があります。

だからこそ、競技は競技で頑張る。

そして、ATHBASEでは身体そのものを育てる。

この組み合わせを大切にしています。


スポーツを頑張る子ほど、「競技以外の動き」を

「もうスポーツをやっているから、運動教室はいらない」

そう思うのも、当然だと思います。

でも、ATHBASEが考えているのは、「もっと運動をさせよう」ということではありません。

競技では経験しにくい身体の使い方を、もう一度経験してほしい。

ということです。

大好きなスポーツを、もっと楽しむために。

ケガをしにくく、長く続けるために。

そして、

「自分の身体って、こんなふうにも動かせるんだ」

という可能性を広げるために。

競技の練習と、身体づくり。

どちらか一つではなく、

両方あっていい。

ATHBASEスポーツ教室は、そう考えています。


参考文献

[1] Morgan PJ, et al. Fundamental movement skill interventions in youth: a systematic review and meta-analysis.

[2] Exploring Recommendations for Child and Adolescent Fundamental Movement Skills Development. International Journal of Environmental Research and Public Health. 2023.

[3] Carder SL, et al. The Concept of Sport Sampling Versus Sport Specialization: Preventing Youth Athlete Injury: A Systematic Review and Meta-analysis. American Journal of Sports Medicine. 2020.

[4] Bell DR, et al. Sport Specialization and Risk of Overuse Injuries: A Systematic Review With Meta-analysis. Orthopaedic Journal of Sports Medicine. 2018.

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