
「うちの子、本当に落ち着きがなくて……」
体験に来られた保護者の方から、そんなお話を聞くことがあります。
話を聞いている途中で動いてしまう。
椅子に長く座っていられない。
次々と違うものに興味が移る。
家でも、
「ちゃんと座って!」
「話を聞いて!」
「集中して!」
と何度も声をかけている。
そんな姿を見ると、
「この子は集中力がないのかな?」
と心配になるかもしれません。
でも運動教室で子どもたちを見ていると、ときどき不思議なことがあります。
普段は落ち着きがないと言われている子が、
鬼ごっこになると、ものすごく集中している。
今日はそんな話です。
さっきまで動き回っていたのに……
説明中は、
隣の子が気になる。
置いてあるボールが気になる。
身体をモゾモゾ動かしている。
ところが、
「よし!次は鬼ごっこ!」
となった瞬間。
表情が変わります。
鬼を見る。
逃げる場所を探す。
友達の位置を見る。
捕まりそうになったら方向を変える。
止まる。
また走る。
数分間、ものすごく集中しています。
あれ?
この子、
集中力がなかったんじゃないの?
「集中している姿」は一つではない
僕たち大人は、
集中している子を想像すると、
椅子に座っている。
静かにしている。
先生の方を見ている。
話を聞いている。
そんな姿を思い浮かべやすいと思います。
もちろん、それも大切な集中です。
学校生活では、座って話を聞く場面もあります。
でも、
集中=静止していること
ではありません。
スポーツを考えてみると分かりやすいです。
サッカー選手は走りながら周囲を見ています。
野球選手はボールが来る瞬間を待っています。
バスケットボールでは、相手や味方の動きに反応します。
全部、
身体を動かしながら集中しています。
鬼ごっこ中の頭の中は、かなり忙しい
子どもの鬼ごっこを、少し細かく見てみましょう。
鬼はどこ?
近づいてきた。
右へ逃げる?
でも友達がいる。
じゃあ左。
あ、こっちにも来た。
止まる。
切り返す。
今だ、走れ!
ほんの数秒の中で、
見る → 判断する → 動く → 修正する
を繰り返しています。
しかも、状況はずっと変わります。
これは、
「決められた動きを覚えて繰り返す」
のとは違います。
変化する状況に注意を向けながら、
その場で判断し、
身体を動かしています。
遊んでいるだけに見える鬼ごっこでも、子どもはたくさんの情報を処理しています。
なぜ好きなことなら集中できるの?
ゲームなら何十分も集中できる。
好きな遊びならずっとやっている。
でも宿題になると5分で飽きる。
「集中力あるじゃん!」
と思ったことはありませんか?
集中は、その子の中に一定量入っている「能力」だけで決まるものではありません。
何をしているか。
どれくらい難しいか。
興味を持てるか。
疲れていないか。
周囲に何があるか。
いろいろな条件によって変わります。
だから、
ある場面で集中できなかったからといって、
「この子は集中力がない子」
と決めるのは少し早いかもしれません。
難しすぎても、簡単すぎても離れてしまう
これは運動教室でもよくあります。
課題が難しすぎる。
何度やってもできない。
すると、
「もうやらない」
となることがあります。
反対に、
簡単すぎる。
何回やっても同じ。
これも、
「つまらない」
となることがあります。
だから指導するときには、
その子にとって
「ちょっと頑張ったらできそう」
くらいの課題をつくることがあります。
高さを少し下げる。
距離を短くする。
ルールを一つ減らす。
反対に簡単なら、
条件を一つ増やす。
すると、
「できそう!」
「もう一回!」
が生まれます。
そして気づけば、夢中になっています。
「集中しなさい!」で集中できる?
大人でも、
「今から30分、集中してください」
と言われて、すぐ最高の集中状態に入れるとは限りません。
子どもも同じです。
もちろん、
話を聞くこと。
順番を待つこと。
ルールを守ること。
必要な場面では伝えていきます。
でも、
「集中しなさい!」
を繰り返すだけではなく、
集中したくなる環境をつくる
という考え方も必要ではないでしょうか。
ATHBASEで「待つ時間」を長くしすぎない理由
子どもの運動では、
一人ずつ順番にやる形式になることがあります。
10人いて、
一人ずつチャレンジ。
自分の番は10秒。
待つ時間は長い。
これでは、
途中で別のことが気になってしまう子がいても不思議ではありません。
もちろん、安全面などから順番を待つ必要がある運動もあります。
でもATHBASEでは可能な範囲で、
同時に動ける。
待っている子にも役割がある。
次々とチャレンジできる。
そんな環境も意識しています。
なぜなら、
子どもは身体を動かすために運動教室へ来ているからです。
「落ち着きがない」を別の角度から見てみる
すぐ動く。
いろいろなものに興味を持つ。
新しいものを触りたがる。
何度も試す。
もちろん、集団活動ではルールを守ることも必要です。
他の子の活動を妨げてしまう場合には、声をかけることもあります。
でも、
「動くことが多い」
という一面だけを切り取って、
すぐにマイナスとして見る必要もないと思っています。
身体を動かす場面では、
そのエネルギーが大きな力になることもあります。
大切なのは、
その子が力を発揮できる場面を見つけながら、必要な行動も少しずつ身につけていくこと。
どちらか一方ではありません。
「聞く力」も運動の中で使っている
運動教室だから、
ずっと走っているわけではありません。
例えば、
「赤だったら走る」
「青だったら止まる」
というゲーム。
子どもたちは、
合図を聞く。
覚えておく。
判断する。
動く。
途中でルールを変えます。
「今度は反対!」
すると、
さっきまで覚えていたルールを切り替えなければなりません。
身体を動かす遊びの中でも、
聞く・覚える・切り替える・判断する
といった経験があります。
机に向かうことだけが、集中する練習ではないのです。
「集中できなかった日」があってもいい
昨日はできたのに、
今日は全然話を聞かない。
そんな日もあります。
でも子どもも、
眠い日があります。
疲れている日があります。
学校や園でたくさん頑張った日もあります。
お腹が空いているかもしれません。
何か気になることがあるかもしれません。
だからATHBASEでも、
一回の様子だけで、
「この子はこういう子」
と決めないようにしています。
長く関わっていると、
「今日はいつもと違うな」
ということも見えてきます。
「集中できる子」より「戻ってこられる子」
集中は、ずっと途切れないことだけが理想なのでしょうか。
大人でも、
仕事中に別のことを考えることがあります。
スマートフォンが気になることもあります。
集中が切れること自体はあります。
大切なのは、
気がそれたあと、必要なところへ意識を戻せること。
運動教室でも、
一度別のことが気になった。
でも、
「次やるよ!」
で戻ってくる。
また参加する。
それも一つの力だと思います。
「落ち着きがない」だけで、その子を決めない
子どもの姿には、
いろいろな面があります。
座っているのは苦手。
でも身体を動かすと夢中になる。
説明を長く聞くのは苦手。
でも実際にやってみると、すぐ理解する。
一人では集中しにくい。
でも友達と一緒なら何度も挑戦する。
だから、
「落ち着きがない」=「集中力がない」
と一つの言葉で決めてしまわない。
その子は、
どんなときに夢中になるのか。
そこを見つけてみると、違った姿が見えてくるかもしれません。
気づいたら夢中になっていた
ATHBASEスポーツ教室が目指しているのは、
子どもたちを長時間じっとさせることではありません。
動く。
見る。
聞く。
考える。
失敗する。
もう一回やる。
友達を見る。
工夫する。
そして、
気づいたら夢中になっていた。
そんな時間を増やしたいと思っています。
「集中しなさい」と言われたから集中するのではなく、
「やりたい!」から自然と集中する。
身体を動かすことには、そんな力があります。
ATHBASEスポーツ教室では、これからも十勝・帯広の子どもたち一人ひとりの「夢中になれる瞬間」を大切にしていきます。
ATHBASEスポーツ教室
北海道帯広市西13条北5丁目1番地12
年少から中高生まで、成長段階や運動経験に合わせたクラスを実施しています。
理学療法士・認定スクールトレーナーの視点を活かしながら、走る・跳ぶ・投げる・バランスを取る・見る・判断するなど、さまざまな運動経験を通して子どもたちの成長をサポートしています。