
「走るのが遅い」
「ジャンプが苦手」
「身体の使い方がぎこちない」
「同じチームの子と比べると、まだ身体が小さい」
子どものスポーツや運動を見ていると、どうしても〝今できていること”に目が向きます。
タイム
順位
試合での活躍
できる、できない
もちろん、今の状態を見ることは大切です。
でも、幼児・小学生・中学生の子どもたちを日々見ていると、僕はいつも思います。
その子の身体は、まだ完成していない。
だから、
「今できない」だけで、その子の可能性を決めてほしくない。
そして反対に、
「今できている」から、この先もずっと大丈夫とも限らない。
子どもたちはこれから、身体そのものが大きく変わっていきます。
今回は、ATHBASEスポーツ教室が子どもたちを見るときに大切にしている「今だけで判断しない」という考えについて書いてみたいと思います。
同じ小学6年生でも、身体は同じではない
例えば、同じ小学6年生。
同じ11歳、12歳でも、
身長が大きく伸びている子もいれば、これから伸びる子もいます。
身体が大きい子もいれば、小さい子もいます。
筋力やパワーが大きく変化している子もいれば、まだその前の段階にいる子もいます。
つまり、
「同じ年齢=同じ身体」ではありません。
これは感覚的な話だけではありません。
子どものスポーツでは「暦年齢(何歳か)」と「生物学的な成熟」が必ずしも一致しないことが知られています。成長・成熟のタイミングには大きな個人差があり、若年アスリートの発達は、身体的成長・生物学的成熟・行動面の発達などが同時に変化しながら進んでいきます。
2025年に公表されたシステマティックレビュー・メタ解析でも、18歳未満の若年者では成熟段階によってスプリントやジャンプの成績に違いがあり、成熟が進んだ群の方が高いパフォーマンスを示す傾向が報告されています。
つまり、
今、足が速い。
今、ジャンプ力が高い。
今、身体が強い。
その背景には、トレーニングや運動経験だけではなく、成長・成熟のタイミングも関係している可能性があります。
だからこそ、子どもの能力を今の数字だけで決めつけることには慎重でありたいと思っています。
「あの子は運動神経がいい」で終わらせない
子どものスポーツでは、
「あの子は運動神経がいいから」
「うちの子は運動が苦手だから」
という言葉をよく耳にします。
でも、僕はこの言葉だけで終わらせたくありません。
例えば、走るのが速い子がいたとします。
なぜ速いのでしょう?
身体が大きいのかもしれない。
力を出せるようになってきたのかもしれない。
走る経験が多かったのかもしれない。
身体の使い方が上手なのかもしれない。
その競技との相性が良いのかもしれない。
いくつもの要素が考えられます。
逆も同じです。
今うまくできない子にも、
「なぜ今は難しいのか?」
があります。
だからATHBASEでは、
「できる・できない」で終わらず、その間を見る。
ことを大切にしています。
成長したら、全部自然に上手くなるわけでもない
ここも大切です。
「まだ身体が小さいから、そのうち大きくなればできるようになる」
これも少し違います。
身体が大きくなれば、筋力やパワーなどに変化が出てくる可能性があります。
一方で、急激に身体が成長する時期には、今までと同じように身体を動かしにくく感じる子もいます。
過去のシステマティックレビューでは、感覚運動機能の多くが思春期を通じて成熟を続け、一部の子どもでは一時的な遅れや後退のような変化がみられる可能性が報告されています。ただし、この現象はすべての子どもに一律に起こるものではなく、研究上の不確実性も残っています。
また、10〜15歳の男子競泳選手を追跡した研究では、成長速度が高まった時期に、ホッピング課題で評価した協調能力の一部が一時的に低下する関連も報告されています。
昨日まで普通にできていた動きが、
「なんかやりにくい」
「身体が重い」
「タイミングが合わない」
となることもある。
だから、
成長=勝手に全部上手くなる
ではありません。
身体が変われば、その新しい身体でまた動きを学んでいく必要があります。
「最近、動きがぎこちない」は悪いこと?
中学生くらいになると、
「前より動きがぎこちなくなった気がする」
「急に身体が硬くなったように見える」
「前はもっとスムーズだったのに」
ということがあります。
ここで、
「練習不足だ」
「運動能力が落ちた」
とすぐに判断する必要はありません。
成長期には、骨格や筋・腱、神経系など身体のさまざまな部分が変化していきます。こうした発達上の変化が、動きや協調性、パフォーマンスに影響し得ることが指摘されています。
もちろん、すべてを「成長期だから」で片づけるのも違います。
痛みがある。
極端に動きが変わった。
疲労が抜けない。
そんな場合は別の視点も必要です。
大切なのは、
一つの動き、一日の調子、一回の結果だけで、その子を決めないこと。
だと思います。
ATHBASEが見ているのは「今日」だけではない
ATHBASEスポーツ教室で子どもたちを見るとき、
もちろん今の動きを見ています。
でも、僕たちが見たいのは、それだけではありません。
この子は今、どんな身体なのか。
どんな動きを経験してきたのか。
何が得意なのか。
どこで動きにくくなっているのか。
そして、
この先、身体が変わっていったときに、どんな力が必要になるのか。
そこまで考えます。
今のためだけの運動ではなく、
これから変化していく身体のための運動。
それが、成長期の子どもたちには必要だと考えています。
だから、いろいろな動きを経験してほしい
例えば小学生のうちから、一つの動きだけを繰り返すのではなく、
走る
跳ぶ
止まる
しゃがむ
支える
転がる
這う
登る
投げる
捕る
バランスをとる
方向を変える
身体をひねる
いろいろな身体の使い方を経験する。
今すぐその動きが競技で使われるかどうかだけではなく、
これから身体が成長していく中で使える「動きの引き出し」を増やしておく。
ATHBASEがさまざまな運動を取り入れている理由の一つです。
今できないことにも、意味がある
運動教室をやっていると、当然できないことがあります。
最初から全部できる子はいません。
ジャンプが上手くできない。
片脚でバランスを取れない。
ボールを上手く捕れない。
走り方がぎこちない。
でも、それでいいんです。
むしろ、
できないからこそ、経験できることがあります。
考える。
やってみる。
失敗する。
少し変えてみる。
またやってみる。
そして、
「できた!」
になる。
僕は、この過程がものすごく大切だと思っています。
だからATHBASEでは、
「できない=ダメ」
ではありません。
「できない=これから変わる余地がある」
と考えます。
「早く成長した子=才能がある」とも限らない
ジュニアスポーツでは、身体が早く大きくなった子が目立つことがあります。
速い
強い
高く跳べる
当たり負けしない
それ自体は、その子の立派な能力です。
ただ、成長・成熟のタイミングが身体パフォーマンスに影響する以上、その時点での優位性と、将来的な可能性を同じものとして扱わないことも重要です。成熟の違いが若年スポーツの選抜やタレント育成に影響し得ることは、以前から議論されています。
反対に、
身体がまだ小さい
力がまだ弱い
今は速くない
だからといって、
「この子には才能がない」
と決める理由にもなりません。
子どもの成長には、それぞれの時間があります。
比べるなら「隣の子」だけではなく「その子自身」を
スポーツには競争があります。
順位もあります。
勝ち負けもあります。
だから、他の子と比べること自体をなくすことはできません。
でも、成長期だからこそ、
もう一つ見てほしいものがあります。
半年前のその子。
1年前のその子。
前より走れるようになった。
前より身体を支えられるようになった。
できなかった動きができた。
失敗しても、もう一度挑戦するようになった。
数字には表れにくい変化もあります。
子どもの成長は、
今日の順位だけでは測れません。
「今を見る。そして、その先を見る。」
ATHBASEスポーツ教室が大切にしたいのは、
今できるか、できないかだけを評価することではありません。
今を見る。
そして、
その子がこれから成長していく先を見る。
その間に何が必要なのかを考えて、
必要な経験を、今つくる。
それが、成長期の子どもたちに関わる僕たち大人の役割の一つだと思っています。
今、走るのが遅くてもいい。
今、上手くジャンプできなくてもいい。
今、身体が小さくてもいい。
逆に、今すごくできていても、そこで終わりではない。
子どもの身体は、まだ完成形ではありません。
だからこそ、
今の姿だけで可能性を決めない。
できないことに挑戦する。
いろいろな身体の使い方を経験する。
そして一つずつ、
「できた!」を増やしていく。
ATHBASEスポーツ教室は、そんな子どもたちの「今」と「これから」の両方を見ながら、十勝・帯広で身体づくりを続けていきたいと思っています。
今できるかではなく、これからどう育っていくか。
子どもの可能性は、まだまだこれからです。