【十勝・帯広から発信】「36の基本動作」を知っていますか?あらゆるスポーツに適応できる身体の作り方

特定の競技をがんばる前に!運動ポテンシャルを決定づける「動きの引き出し」の科学

こんにちは。帯広のATHBASEスポーツ教室 代表の河江将司です。理学療法士として、十勝の子どもたちが怪我なく、自分の思い通りに動かせるしなやかな身体を育めるようサポートしています。

サッカー、野球、ミニバス、陸上、そして冬のスピードスケートなど、十勝・帯広はジュニアスポーツが非常に盛んな地域です。子どもたちが一生懸命に白球を追いかけたり、氷上を滑り降りたりする姿には、いつもたくさんの元気をいただきます。

そんな中、熱心な保護者の方からこのようなご相談をいただくことがあります。

「早く上手になってほしいから、週に何日も専門のスクールに通わせています」

「サッカーのドリブルはすごく上手いのに、体育のマット運動や縄跳びになると、急に動きがギコちなくなるんです……」

実は、ここに現代のジュニアスポーツが抱える大きな落とし穴があります。 特定のスポーツだけを早くからがんばる「早期専門化」は、一見すると上達の近道に見えますが、実は「運動能力の伸び悩み(スランプ)」や「深刻な怪我(オーバーユース)」を招く最大の原因になってしまうのです。

プロとして活躍する選手や、大人になっても怪我なくマルチにスポーツを楽しめる子どもたちには、共通する「身体の土台」があります。 それが、今回ご紹介する「36の基本動作(基礎運動)」です。

今回は、なぜこの36の動作があらゆるスポーツの上達に不可欠なのか、科学的なエビデンスをもとに詳しく解説します!


1. 「36の基本動作(基礎運動)」ってなに?

「36の基本動作(基礎運動)」とは、山梨大学の中村和彦教授が提唱している、子ども時代(特に幼児期から小学校低学年まで)に必ず身につけておくべき基本的な動きのバリエーションのことです。

人間の複雑なスポーツスキルや身のこなしは、この単純な36の動きが複雑に組み合わさることで成り立っています。 この36種類の運動は、身体の機能や役割に応じて、以下の「3つのグループ(9種+9種+18種)」に分かりやすく分類されています。

① 姿勢を制御する動き(バランス系・姿勢に関連する機能):9種類

自分の身体の姿勢を安定させ、重力をコントロールするための動きです。

  • 動詞の例:立つ、起き上がる、回る、渡る、ぶら下がる、逆立ちする、乗る、浮く、組む

② 体を移動させる動き(移動系・重心に関連する機能):9種類

自分の身体の重心を、空間の中で前後左右、上下にスムーズに移動させる動きです。

  • 動詞の例:歩く、走る、跳ねる、滑る、跳ぶ、登る、くぐる、這う、よける

③ 用具などを操作する動き(操作系・細かい運動や四肢を巧みに使う感覚機能):18種類

手や足、あるいは道具(ボールやバットなど)を巧みにコントロールするための動きです。

  • 動詞の例:持つ、支える、運ぶ、押す、引く、投げる、捕る、蹴る、打つ、振る、捕らえる、転がす、渡す、積む、こぐ、掘る、ちぎる、包む

2. なぜ「特定のスポーツだけ」ではダメなのか?

「サッカーを毎日やっているから、走るし、蹴るし、避けるし、十分じゃないの?」と思われるかもしれません。

しかし、特定のスポーツの練習(専門特化)だけを繰り返していると、使われる動きがその競技特有のもの(例えばサッカーなら「走る」「蹴る」など)に激しく偏ってしまいます。 その結果、以下のような「運動器の機能不全(アンバランス)」が体内で発生します。

  • 使わない神経ネットワークの退化(刈り込み) 以前のブログでお話しした通り、脳の神経回路は12歳頃までにほぼ100%完成します 。この時期に使われなかった「動きの通り道」は、脳が「不要なもの」と判断してどんどん整理(刈り込み)してしまいます 。
  • 特定の筋肉や関節のオーバーユース(使いすぎ) 同じ動きばかりを繰り返すことで、特定の部位(膝や肘など)にばかり過剰なストレスが集中し、オスグッド病(膝の痛み)や野球肘などの深刻なスポーツ障害を引き起こす引き金になります 。

サッカーのドリブルは抜群に上手いのに、「投げる」ことが全くできない。野球のピッチングは素晴らしいのに、「自分の体重を腕で支える(支持感覚)」ことができず、転んだ時にとっさに手が出なくて顔を大怪我してしまう。 このような「身体操作のいびつさ」を抱える子どもたちが、今、スポーツ現場で非常に増えているのです。


3. 「動きの貯金」が多い子ほど、将来爆発的に伸びる!

最先端のスポーツ科学において、幼少期に36の基本動作を網羅的にたくさん経験している子は、「即座の習得(初めてやる運動でも、2〜3回チャレンジするだけですぐにコツを掴んでできてしまう能力)」が非常に高いことが実証されています。

例えば、新しいスポーツを始めたとき、脳の中にすでに「似たような動きのパーツ(貯金)」がたくさん蓄積されているため、新しい技術を覚えるスピードが圧倒的に速いのです。 大谷翔平選手が、野球だけでなくバドミントンや水泳など、幼少期に様々な運動(マルチスポーツ)を経験していたことは非常に有名です。

特別なトレーニングマシンや厳しい筋トレは必要ありません。

  • ジャングルジムに登る(「登る」「支える」「高さ感覚」)
  • 布団の上でゴロゴロ転がる(「回る」「回転感覚」)
  • 友達と鬼ごっこで逃げ回る(「走る」「よける」「急な切り替え」)

こうした、一見するとただの「無邪気な遊び」の中にこそ、36の基本動作が最も理想的なバランスで、網羅的に散りばめられているのです 。


まとめ:最高のトレーニング環境は「十勝の大自然」

「うちの子の運動ポテンシャルを伸ばしてあげたい!」と思ったら、一つの習い事に絞って技術を詰め込む前に、まずは親子で思いっきり「多様な身体の使い方(遊び)」を楽しんでください。

十勝・帯広には、子どもたちが五感をフルに働かせ、36の基本動作を遊び尽くせる素晴らしい公園や大自然がすぐ身近にあります。 アスレチックに挑戦する、川原で石を投げて水切りをする、お庭で芝生をゴロゴロ転がる。それらすべてが、お子さんの一生を支える頑丈な「身体の土台」を作っていきます。

ATHBASEスポーツ教室では、理学療法士の医学的知見に基づき、この「36の基本動作」をすべて網羅したコーディネーションプログラムを、子どもたちが夢中になれる「遊び」の形で直接指導しています。

「うちの子、ちょっと体の使い方が硬い気がする」「怪我をしにくい身体の土台を作ってあげたい」など、気になることがあればいつでもお気軽にご相談ください!


ATHBASE 代表 河江 将司 (理学療法士 / 認定スクールトレーナー)

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【引用・参考文献】

  • 『スポーツ万能な子どもの育て方』(小俣よしのぶ 著)
  • 文部科学省「幼児期運動指針ガイドブック」
  • 公益財団法人運動器の健康・日本協会 養成講習会テキスト

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