
「足を速くするなら、このトレーニング!」
「体幹を強くするなら、これ!」
「ジャンプ力を上げたいなら、これをやろう!」
SNSを開けば、毎日のようにいろいろなトレーニングが流れてきます。
実際、
「このトレーニング、うちの子にもやらせた方がいいですか?」
と聞かれることもあります。
そのとき、僕がまず考えるのは、
そのトレーニングが良いか、悪いかではありません。
考えたいのは、
「なぜ、この子が今これをやるのか?」
ということです。
同じトレーニングでも、その子によって意味は変わります。
今回はATHBASEスポーツ教室が、トレーニングの「種目」よりも大切にしていることについて書いてみます。
「良いトレーニング」を探したくなる
子どもがスポーツをしていると、
もっと足を速くしてあげたい。
当たり負けしない身体にしたい。
ジャンプ力をつけたい。
ケガをしにくい身体にしたい。
そう思うのは自然なことだと思います。
そして今は、スマートフォンで検索すれば、
ラダー。
スクワット。
プランク。
ジャンプトレーニング。
チューブトレーニング。
アジリティトレーニング。
さまざまな方法がすぐに見つかります。
もちろん、それぞれに目的があります。
問題は、
「この種目をやれば○○ができるようになる」
と、一つの方法だけで考えてしまうことです。
同じスクワットでも、目的は同じとは限らない
例えばスクワット。
子どもAと子どもBが、まったく同じスクワットをしていたとします。
見た目は同じです。
でも、指導する側が見ているものは同じとは限りません。
Aさんには、
足元でしっかり身体を支えながら、しゃがむ経験
をしてほしいのかもしれません。
Bさんには、
股関節を使いながら身体をコントロールすること
が目的かもしれません。
別の子なら、
姿勢を保ちながら力を出すこと
を狙っているかもしれない。
さらに競技レベルが上がれば、
そこからジャンプや切り返しにつなげるための準備として行うこともあります。
つまり、
種目は同じでも、目的は違う。
ここがすごく大切です。
「何をやったか」より「何が変わったか」
トレーニングでは、
「今日はスクワットを10回やりました」
「プランクを30秒やりました」
「ラダーを5種類やりました」
というように、どうしても「やったこと」に目が向きます。
でも、本当に見たいのはその先です。
その運動をしたことで、
前より身体を支えられたのか。
前よりスムーズに動けたのか。
前より上手に止まれたのか。
今までできなかった動きに挑戦できたのか。
本人が自分の身体の使い方に気づいたのか。
つまり、
「何をやったか」ではなく、「その経験によって何が変わったか」。
種目は、そのための手段です。
同じ小学5年生でも、同じ身体ではない
これは以前の記事でも書きましたが、成長期の子どもを見るうえで、とても大切な部分です。
同じ小学5年生。
同じ10歳、11歳。
それでも身体は一人ひとり違います。
身長。
体重。
成長のタイミング。
筋力。
運動経験。
得意な動き。
苦手な動き。
競技経験。
さらに、
これまでどんな遊びをしてきたかによっても、経験している動きは違います。
だから、
「小学5年生なら、このトレーニング」
と年齢だけで決めることはできません。
もちろん、発達段階に応じた大まかな考え方はあります。
でも実際の指導では、
目の前にいるその子を見ること
が必要です。
成長期だから、昨日と今日でも身体は変わっていく
子どもの身体は完成形ではありません。
特に成長期には、身長や体重、身体の比率などが変化していきます。
そして、成熟のタイミングには個人差があります。
そのため、同じ年齢・同じ学年だからといって、身体的な発達段階まで同じとは限りません。
昨日まで動きやすかった身体が、
成長によって少し感覚が変わることもある。
逆に、身体が成長することで、それまで難しかった動きができるようになってくることもあります。
だから子どものトレーニングは、
一度メニューを決めたらずっと同じ、
ではありません。
身体が変われば、必要な経験も変わっていく。
その変化を見ることが大切です。
「足を速くしたい」なら、何をすればいい?
例えば、
「足を速くしたいです」
という相談があったとします。
では、何をやればいいのでしょうか。
ラダーでしょうか。
スクワットでしょうか。
ジャンプでしょうか。
ダッシュでしょうか。
答えは、
その子を見ないと分かりません。
もちろん、走る能力を高めるためには実際に速く走る経験も重要です。
でも、同じ「足が遅い」という悩みでも、
スタートが苦手なのか。
加速が苦手なのか。
大きな力を出しにくいのか。
接地の仕方に特徴があるのか。
身体をうまく前へ運べていないのか。
そもそも全力で走る経験が少ないのか。
考えられることは一つではありません。
だから、
「足を速くしたい=○○をやればいい」
と簡単には決められないのです。
「体幹が弱い」も同じ
前回の記事では、子どもの体幹トレーニングについて書きました。
これもまったく同じです。
動きが不安定だから、
「体幹が弱い」
と判断してプランクをする。
本当にそれだけでいいでしょうか。
片脚で支える経験が少ないのかもしれない。
足元が安定していないのかもしれない。
股関節を上手に使えていないのかもしれない。
動きのタイミングが合っていないのかもしれない。
その運動自体をほとんど経験したことがないのかもしれない。
つまり、
見えている動きだけから、一つの原因に決めつけない。
これは子どもを見るときに、とても大切にしています。
「できない」には理由がある
例えば、ジャンプからの着地でグラグラする子がいたとします。
そこで、
「バランスが悪い」
で終わらせるのは簡単です。
でも、
なぜグラグラしたのでしょうか。
高く跳びすぎた?
着地姿勢を知らない?
片脚で支える力が足りない?
身体を止めるタイミングが分からない?
そもそもジャンプ着地を経験する機会が少なかった?
疲れていた?
一つの動きを見ても、いろいろな可能性があります。
だから指導する側は、
「できない」を評価して終わるのではなく、「なぜ?」を考える。
そこから、その子に必要な運動を考えていきます。
難しければ「一つ前」に戻ればいい
子どもの指導で僕が大切だと思っていることの一つが、
できない運動を、できるまでひたすら繰り返させないこと。
です。
例えば難しいジャンプができない。
その場合、
ジャンプを100回やればいいとは限りません。
一つ簡単な動きに戻してみる。
高さを下げる。
スピードを落とす。
両脚にする。
支えを増やす。
動きを分ける。
すると、
「あ、できた!」
となることがあります。
そこから少し難しくする。
またできる。
もう少し難しくする。
この積み重ねです。
「簡単すぎる」も、その子には必要かもしれない
反対に、
「こんなの簡単じゃない?」
と思う運動にも意味があることがあります。
例えばトップレベルのスポーツ選手でも、基本的な動きを確認することがあります。
子どもも同じです。
難しいトレーニングをしているから良い。
複雑な種目だからレベルが高い。
とは限りません。
その子にとって必要なら、
走る。
跳ぶ。
しゃがむ。
支える。
投げる。
捕る。
といった基本的な動きに戻ることもあります。
難しいことをするのがトレーニングではありません。
目的に合ったことをするのがトレーニングです。
SNSで「すごいトレーニング」を見たときに考えてほしいこと
今は、SNSでたくさんのトレーニングを見ることができます。
中には、
「こんなことまでできるの?」
と思うような複雑な動きもあります。
見ると、
「うちの子にもやらせた方がいいかな?」
と思うかもしれません。
そんなとき、一度考えてみてください。
「これは何のためにやるんだろう?」
そして、
「今のこの子に必要なんだろうか?」
ここが分からなければ、無理に真似する必要はありません。
トレーニングの価値は、
見た目の派手さでは決まりません。
「競技に似ている」だけが良いトレーニングでもない
これもよくある考え方です。
サッカー選手だからボールを使う。
野球選手だから投げる動きをする。
バスケットボール選手だからジャンプする。
もちろん、競技練習は必要です。
でも、身体づくりのすべてを競技そっくりにする必要はありません。
例えば、
這う。
転がる。
片脚でバランスを取る。
違う方向へ跳ぶ。
普段と違うボールを投げる。
いろいろな姿勢から立ち上がる。
一見、競技と直接関係なさそうな運動でも、
自分の身体を扱う経験
になります。
子どもの時期だからこそ、一つの競技動作だけではなく、いろいろな身体の使い方を経験してほしいと思っています。
トレーニングは「種目集」ではない
指導をしていると、
「どんなトレーニングをやっていますか?」
と聞かれることがあります。
もちろん説明することはできます。
でも、本当は、
「○○をやっています」
だけではATHBASEの指導を説明しきれません。
なぜなら、
僕たちが考えているのは、
種目そのものではなく、その種目を使って何を経験してほしいのか
だからです。
同じ運動でも、
声かけを変える。
スピードを変える。
高さを変える。
距離を変える。
回数を変える。
ルールを変える。
組み合わせを変える。
それだけで、運動の意味は変わります。
グループ指導でも、一人ひとりを見る
ATHBASEスポーツ教室は、グループで運動するクラスがあります。
では、
全員にまったく同じことをやらせればいいのでしょうか。
僕はそうは思っていません。
もちろん、みんなで同じ運動に取り組むことはあります。
でも、その中でも、
この子には少し簡単にする。
この子にはもう一段階難しくする。
この子には違う声かけをする。
この子には少し待つ。
同じメニューの中でも調整できます。
ATHBASEが大切にしているのは、
「全員でやる。でも、一人ひとりを見る。」
ということです。
「できた!」が生まれる難易度をつくる
簡単すぎれば、挑戦にならない。
難しすぎれば、
「どうせできない」
になってしまうこともあります。
だから、
少し頑張ればできそう。
というところを探します。
一回目はできない。
もう一回やってみる。
ちょっとやり方を変える。
「あ、できた!」
すると、
「もう一回!」
になる。
僕は、この瞬間が子どもの運動ではとても大切だと思っています。
トレーニングは、
ただ身体を強くする時間ではありません。
挑戦して、試して、できるようになる経験をつくる時間
でもあります。
ATHBASEが考える「良いトレーニング」
結局、
「子どもにとって一番良いトレーニングは何ですか?」
と聞かれたら、
一つの種目を答えることはできません。
スクワットかもしれない。
ジャンプかもしれない。
鬼ごっこかもしれない。
ボール遊びかもしれない。
クマ歩きかもしれない。
全力ダッシュかもしれない。
その答えは、
その子によって変わります。
だからATHBASEでは、
「何をやるか」の前に、「なぜやるか」を考える。
今の身体を見る。
成長段階を見る。
その子の経験を見る。
目標を見る。
実際の動きを見る。
そして、
「今、この子には何が必要だろう?」
と考える。
種目ではなく、その子を見る
SNSには、これからも新しいトレーニングがたくさん出てくると思います。
新しい道具も出てきます。
新しい方法も出てきます。
それ自体は悪いことではありません。
僕自身も、新しい知識を学び続けたいと思っています。
でも、どれだけ方法が増えても、
忘れたくないことがあります。
目の前にいるのは「トレーニングをする人」ではなく、一人の成長途中の子どもだということ。
だから、
流行っているからやる。
有名な選手がやっているからやる。
難しそうだからやる。
ではなく、
「なぜ、この子が今これをやるのか?」
そこを大切にしたい。
全員で運動する。
でも、一人ひとりを見る。
できないことがあれば、少し戻る。
できるようになったら、少し先へ進む。
その子の成長に合わせて、必要な経験をつくっていく。
それがATHBASEスポーツ教室の考える、子どもの身体づくりです。
「これをやればOK」ではなく、
「この子には、今何が必要だろう?」
これからも十勝・帯広の子どもたち一人ひとりと向き合いながら、「できた!」につながる運動環境をつくっていきたいと思います。
ATHBASEスポーツ教室
北海道帯広市西13条北5丁目1番地12
幼児・小学生・中学生・高校生まで、年齢や成長段階、運動経験に合わせた身体づくりを行っています。