
画面を見る時間が増えるほど、子どもの「動く力」はこっそり奪われている
こんにちは。帯広のATHBASEスポーツ教室 代表の河江将司です。理学療法士/認定スクールトレーナーとして、日々子どもたちの身体のコンディショニングや運動指導を行っています。
現代の生活において、スマートフォンやタブレット、ゲーム機はなくてはならない便利で楽しいツールになりました。YouTubeやタブレット学習など、子どもたちが画面に触れる機会は大人以上に増えています。
しかし、スポーツ教室の現場や整体院で子どもたちを見ていると、ある重大な異変に気づきます。
「走るとすぐに『疲れた』とへたり込んでしまう」
「ゴロゴロ転がるだけで、目が回ってフラフラしてしまう」
「自分の体を思い通りにコントロールできず、不器用な動きを繰り返す」
実は、こうした子どもの「運動の苦手さ」や「体力の低下」の背景には、日々の「スマホやゲームを見る時間(スクリーンタイム)」が深く関係しているのです。
今回は、画面を見る時間がなぜ子どもの運動神経や体力を奪ってしまうのか、国の確かなデータと医学的なメカニズムから詳しく紐解きます!
1. 国のデータが警告!画面を見る時間が長い子ほど「体力が低い」
スポーツ庁が実施した「令和5年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査」では、学習以外でのテレビ、ゲーム、スマートフォンなどの画面を視聴する時間(スクリーンタイム)と、子どもの体力テスト(握力、50m走、シャトルランなど)の点数との関連がはっきりと示されています。
その結果は、目を見張るものです。 「1日に画面を見る時間が長くなればなるほど、新体力テストの合計点がきれいに右肩下がりで低下している」という事実がデータとして明らかになりました。
さらに、ゲームやネットへの依存傾向にある子ども、視力が低下している子ども、授業中にじっと座っていられずに姿勢が崩れて(背中ぐにゃ)すぐに「疲れた」と口にする子どもが、教育現場で急増していることも分かっています。
つまり、「スマホの見すぎ」は単に目が悪くなるだけでなく、子どもの全身の体力や、やる気・集中力といったメンタル面にまで大きな影を落としているのです。
2. なぜ画面を見すぎると「運動能力」が落ちるのか?(理学療法士の分析)
理学療法士の視点から身体のメカニズムを分析すると、スマホの見すぎが身体に悪影響を与える理由は主に3つあります。
① 運動神経の土台となる「36の基本動作」の機会損失
子どもの運動神経は、生まれつきの才能ではなく、12歳頃までにどれだけ多様な動きを経験したか(=脳に運動の引き出しを作ったか)で決まります。 しかし、スマホを見ている間、子どもの体は完全に「フリーズ」しています。画面を眺める時間が増えれば増えるほど、本来その時期に経験しておくべき「走る・跳ぶ・投げる・くぐる・転がる」といった36の基本動作を体験する大切な時間が、物理的に丸ごと奪われてしまうのです。
② 首・肩の硬さと「体幹の低下」
スマートフォンを見る時、子どもの頭は下を向き、背中が丸まった「猫背」になります。 人間の頭は体重の約10%もの重さがあります。これを支えるために首や肩の筋肉が過剰に緊張し、逆に姿勢を真っ直ぐに保つための「体幹(インナーマッスル)」がどんどん弱くなってしまいます。 体幹が弱くなると、立っているだけで疲れるようになり、スポーツのパフォーマンス低下や、怪我をしやすい体へと繋がっていきます。
③ 「周辺視野(空間認識力)」の発達不全
人間の眼には、焦点を合わせる「中心視野(視力)」と、周囲の状況や距離感を無意識に捉える「周辺視野」があります。 スマホの狭い画面をじっと見つめ続ける生活は、この周辺視野を使う機会を激しく低下させます。周辺視野が育たないと、「味方やボールとの距離感が掴めない」「鬼ごっこで相手をよけられない」「転んだ時にとっさに手を出して顔を守れない」といった、運動器の大きな問題(子どもロコモ)や深刻なケガを引き起こす原因になります。
3. 今日からできる!「スクリーンタイム」を「アクティブタイム」へ
今の時代、子どもからスマホやタブレットを完全に遠ざけることは現実的ではありません。
大切なのは、スマホを悪者にして禁止するのではなく、「画面を見る時間」を「体を動かして遊ぶ時間」へと、上手に入れ替えてあげることです。
日本スポーツ協会や文部科学省のガイドラインでは、幼児から学童期の子どもに対して「毎日合計60分以上、楽しく体を動かすこと」を推奨しています。
特別なトレーニングは必要ありません。
これからの季節、十勝・帯広の広い公園へ出かけて、アスレチックで遊んだり、親子でキャッチボールをしたり、鬼ごっこで走り回ったりするだけで十分です。自然の中で動き回ることは、スマホの画面からは絶対に得られない「五感への正しい刺激」となり、子どもの脳と運動神経を劇的に目覚めさせます。
ご家庭でのルールとして、まずは「寝る1時間前からはスマホやゲームの画面を見ない」(ブルーライトによる睡眠障害や疲労蓄積を防ぐため)ということから始めてみるのが非常におすすめです。
まとめ:画面から目を離し、十勝の自然へ飛び出そう!
姿勢が悪い、すぐに疲れる、運動が苦手。 それは決してお子さんの才能のせいではなく、単に「身体を使う経験の不足」が画面の奥に隠れているだけかもしれません 。
スマホを置いて、一歩外へ踏み出せば、十勝・帯広には子どもたちの可能性を無限に広げる最高の遊び場(ジム)が広がっています。 この秋は、親子で思い切り体を動かす楽しさを共有し、一生モノの健やかな身体の土台を一緒に育てていきましょう!
ATHBASEは、子どもたちが夢中になって身体を動かし、「できた!」という感動に出会える場所を全力でサポートしていきます!
ATHBASE 代表 河江 将司 (理学療法士 / 認定スクールトレーナー)
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【引用・参考文献】
- スポーツ庁「令和5年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査報告書」
- 文部科学省「幼児期運動指針ガイドブック」
- 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド 2023」
- 『スポーツ万能な子どもの育て方』(中村和彦 監修)