
こんにちは。北海道帯広市を拠点に活動するATHBASE(アスベース)スポーツ教室・整体院代表の河江将司(かわえ まさし)です。
スポーツの現場や教室で子どもたちを見ていると、ある共通した「苦手な動き」に気づくことがあります。それは、
「かかとを地面につけたまま、深くしゃがみ込む」という動作です。
「今の生活は洋式トイレだから、しゃがめなくても困らないのでは?」と思われるかもしれません。しかし、実はこの「しゃがめない」という状態は、医学的に見ると「子どもロコモティブシンドローム(子どもロコモ)」という、将来の大きな怪我につながる危険なサインなのです。
今回は、なぜ今の子どもたちがしゃがめなくなっているのか、そしてそれがスポーツにどう影響するのかを解説します。
——————————————————————————–
1. 「子どもロコモ」を知っていますか?
ロコモティブシンドローム(運動器症候群)とは、骨や関節、筋肉といった「運動器」に障害が起き、立つ・歩くといった移動能力が低下する状態を指します。かつては高齢者の問題とされてきましたが、今、多くの子どもたちにこの予備軍が広がっています。
具体的には、以下の4つの動作のうち、一つでもできないものがあれば「子どもロコモ」の可能性があります。
- しゃがみ込み:かかとを浮かさず、後ろに倒れずに最後までしゃがめるか。
- 片脚立ち:目を開けたまま、左右とも5秒以上フラつかずに立てるか。
- 体前屈:膝を伸ばしたまま、指先が床に届くか。
- バンザイ:腕が耳の横までまっすぐ上がるか。
特に「しゃがみ込み」ができない子は非常に増えており、ある調査では中学生の約27.5%が正常にしゃがめないという結果も出ています。
——————————————————————————–
2. なぜ「しゃがめない」と怪我をするのか?
「しゃがめない」という現象の裏には、多くの場合、足首(足関節)の硬さが隠れています。
足首が十分に曲がらない(背屈制限)と、人間は無意識に他の部位でその硬さを補おうとします(代償動作)。この無理な動きが、ジュニア期の代表的なスポーツ障害を引き起こす原因となります。
- オスグッド・シュラッター病(膝の痛み):足首が硬い子は、膝を過剰に前に出してバランスをとるため、膝の成長軟骨に強い負担がかかります。調査では、しゃがめない子は、しゃがめる子に比べてオスグッドの発症リスクが約2倍になることがわかっています。
- 足首の捻挫と後遺症:足関節靭帯損傷を経験した子のうち、実に50%が「しゃがみ込み不可」であったというデータもあります。硬い足首は衝撃を吸収できず、再び捻挫を繰り返すリスクを高めます。
さらに、水泳(バタ足)などの競技特性によって、特定の筋肉(ふくらはぎ)が過剰に発達し、結果として足首が硬くなっているケースも見受けられます。
——————————————————————————–
3. 今日からできる!「足首のセンサー」を整える
もしお子さんがしゃがみ込みを苦手としているなら、無理にしゃがませるのではなく、まずは足首の柔軟性を取り戻してあげることが先決です。
① ふくらはぎのストレッチ(ヒラメ筋)
壁や椅子を支えにして、足を前後に開きます。後ろ側の足の膝を軽く曲げたまま、かかとを浮かさないように体重を前にかけます。20秒×3セット行うことで、足首を曲げるのに必要な筋肉の柔軟性が高まります。
② 距骨(きょこつ)の押し込み
しゃがんだ姿勢で、足首の前側にある「距骨」という骨を両手で軽く後ろに押し込みながら、足首を前後に動かします。これにより、足首の関節の「つまり感」が解消され、スムーズに曲がるようになります。
③ 足の指を動かす
足の指の間に自分の手の指を入れ、グルグルと回したり反らせたりします。足裏の感覚(センサー)が目覚めることで、バランス能力自体も向上します。
——————————————————————————–
まとめ
子どもたちは、自分の身体が「硬い」ことや、動きが「おかしい」ことになかなか自分では気づけません。痛みを訴えるときには、すでに症状が進行していることも少なくありません。
練習前のウォーミングアップで、全員で「しゃがみ込みチェック」をしてみてください。もしできない子がいたら、それは「技術不足」ではなく「身体のSOS」かもしれません。
早い段階で柔軟性を改善し、コンディショニングを整えることで、防げる怪我はたくさんあります。
10年後、20年後もその子が笑顔でスポーツを続けられるよう、まずは足元のチェックから始めてみましょう!
——————————————————————————–
ATHBASEスポーツ教室 代表 河江 将司 (理学療法士 / 認定スクールトレーナー)
——————————————————————————–
ATHBASEスポーツ教室 公式LINEはこちらから↓↓
